プラハ在住。ITに強いピアニスト。

ポゴレリッチ時空(ダークスーツ指定)。

昨晩は異世界人ポゴレリッチのリサイタル(ドレスコードがダークスーツ指定)。
ピアノを扱う人なら一度は聴いてみるといいと思います。音色の変化というより、もはや質量の差異。

「聴き心地のいいタッチ使い」が当世風の演奏における基本要素になった結果、どういうわけか輪郭線すら不明瞭な演奏も少なくないこのご時世、どの音も大ホールの端まで通る音使いは珍しいのでは無いでしょうか。扱い方は僕の趣味では無いですが、とにかく音の質感と質量が印象深かった。

ポゴレリッチといえば、とにかく遅いテンポ設定。
過去、カムバック時期のリサイタルを聴きに行ったことがありまして、一向に弾き終わらないので何度時計を見たか分からないくらい、異空間と化した状況が忘れられないのですが、今回はいくらかリスナーフレンドリーになっていました。今回のプログラム以外だと、また時空がねじ曲げられる可能性があるので、そういう意味でも今シーズン聴くのがおすすめです。

彼のゴーイングマイウェイ感は、開場時間中、軽妙な和声進行を弾き遊ぶ当人と、それを横に通話しているスタッフが収められた写真からも窺い知れるかと思います。曲間に譜めくりと打ち合わせをするチャーミングなひと時もありました。

譜めくりといえば、20日にボリス・ギルドブルクのリサイタルも聴きに行ったのですが、彼も楽譜(iPad)をおいて超絶技巧練習曲集(リスト)&前奏曲集(ラフマニノフ)プログラムを敢行していたので、これからは暗譜しないリサイタルも珍しくなくなるかもしれないですね。